【週末さば缶#10】国産 寒さば 木頭ゆず水煮 190g

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今週も朝から晩まで頑張って働いた。

頑張った自分にご褒美を。

ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。

そうとなったら、もうひと頑張り。

重い腰を上げて、買いに行こう。

“あなただけの” 特別なさば缶 を。

 

 

この『週末SABA刊』は、日本中の“今週頑張った”を癒すちょっぴり贅沢なさば缶を紹介し、

各々によって変わる“サバ汁”の簡単な〆方まで解説している週刊コラムである。

週末さば缶#10|国産 寒さば 木頭ゆず水煮 190g

気づけばもう4月。

ついこの前まで年明けだ、節分だ、ひな祭りだ、なんて言っていたが、だんだんと緑が色づき始めて季節はもう春だ。

時の流れは早い。

 

春を目の前に、「冬らしい食材・料理を堪能したか」と振り返ってみると大したものを食べていなかったことに気づく。

焦って取り戻そうとしても市場に回っているものは既に春らしい食材ばかりで、今からどうこうできるものでもない。

しかし、それは生の食材に限った話で、“缶詰”は違う。

四季折々の食材を年中無休で品質担保してくれる缶詰であれば、いつでもこの未練を払拭できる。

「ならばその未練を払拭するのは今でなくても良いではないか」という屁理屈は一旦受け付けない。

 

さて、

春を迎える前に、最後に冬を感じておきたい。

もちろんこのコラムの主役の鯖で。

冬の鯖であれば「寒さば」を嗜んでおけば十分。ということで「寒さば」を使ったさば缶から。

ただ、それだけでは少し物足りない。

プラスで冬らしい“香り”をアクセントにそれをいただくとしよう。その香りについてはタイトルにある通り冬らしい果実  “ゆずの香り”だ。

 

週末のSABA表紙#10

 

週末SABA刊#10 は「ゆずと鯖」と題して、

国産 寒さば 木頭ゆず水煮 190g

を紹介する。

販売元は株式会社 黄金の村。ゆずの生産で有名な徳島県の会社で、農林業の経営から生産物の加工品から雑貨の販売など幅広く事業を行っている。

中でもブランド種である「木頭ゆず」を使用した加工品の販売がメインで、その1つが今回紹介するさば缶だ。

 

さば缶の味付けは水煮ととてもシンプルだが、ゆずの香りが加わることでその風味がどう化けるかが気になるところ。

また、ただの水煮ではない分サバ汁の〆方も楽しみである。

今週も素敵な週末になりそうだ。

 

外缶(観)

 

バチッと決まった黄色のラベルがとても印象的。

よくみると小さな鯖たちが群れを作って商品ラベルの上を一周泳いでいる。とても可愛らしい。

右下にいる鯖たちはおそらく子供の鯖だろう。大群を作って泳ぐ大人の鯖たちにどう加わろうか様子をうかがっているように見える。

 

 

「寒さば」と書かれた左横に「木頭ゆず水煮」と記されているが、そもそも“木頭ゆず”とは?となっている人もいるかと思う。

ここで、少しだけその説明をしておこう。

 

発祥の地である木頭地区(旧木頭村)からその名を授かっているこのゆずは、僕たちが口にするゆずの中でも最も馴染み深い。

というのも、全国のゆず山地で栽培されているゆずのほとんどはこの木頭ゆずの苗であるからだ。

 

鮮やかな色合い」と「香りの豊かさ」。これがこのゆずの魅力。

お吸い物、浅漬け、お菓子、冷や奴、焼き魚、お酒の割り材、酢の物、など…さっぱりしたものからコクのある料理、あるいは飲み物に加えることでそれらのおいしさと風味が増すので、料理好きは重宝するべき冬の果実だ。

加えて、彩り香りという「食」にとって大切な要素を補ってくれる。

写真(下)でもわかるように色鮮やかな色をしているので、皮を刻んでサラダなんかに添えるのも良さそうだ

 

実際の「木頭ゆず」 出典:foodartisan.jp

 

このさば缶の原材料についても触れていこう。

鯖の水煮なので、メインの鯖と食塩が入っているのは大前提として、気になるのは「ゆずペースト」と「ゆず果汁」の存在。

黄金の村が木頭ゆず関連商品として販売しているゆず果汁が含まれているのだろうが、「ペースト」についてはまだピンときていない。

ゆずの果肉を含んでいるいわゆる「ゆず皮ペースト」を指しているのか、それともまた違ったソースのようなものがかかっているのか。この時点ではまだ不明瞭である。

 

 

容量については、固定量(切り身の重さ):140g、内容量190gと高級さば缶のなかではスタンダードなバランスと重量缶(感)。

大ぶりな寒さばが入っていることは間違いなさそうだ。

 

 

最後にパッケージをよく見てみると横書きで「Canned Mackerel with Kito Yuzu in Water Salt Added」と書いていた。

「ゆずで香りつけした鯖の水煮の缶詰」という意味そのままなのだが、英語圏では「水煮」を”in Water Salt Added”とそのまま表記するのかと知ることができてまた新しい発見があった。

“Boiled in water(水で煮る)”では「塩」が入っていることが表現できていないからこのように表現するのだろう。

また一つ賢くなった気がする。

 

中身

 

蓋をあけると細かいゆずの皮が浮かんでいた。

一見鯖の魚肉の繊維かとも思ったが、おそらく違う。

先に述べた「ゆず皮ペースト」はゆずの果肉を含んでいるペーストであったようだ。

 

 

通常の水煮に比べると透明感のあるサバ汁。

ゆずの果汁が含んでいるか否かで透明感に違いが出るのかは分からないが、一般的な水煮であれば白濁するサバ汁も写真のように透明感がある。

また、若干酸っぱそうな色をしている気もしなくもない。

 

 

大きな腹の部分の魚肉が2切れ。そして、尾の部分の切り身が1つ。

一般的なさば缶と同じ切り身の数と構成だが、これは「寒さば」であるが故に普通の“それ”とは違う。

何が違うのか。

それは「脂」だ。

冬の鯖は脂がのっている(正確には冬の“まさば”)

そもそも、“脂がのった”と聞いても具体的にどこに脂がのっているのか。とイメージがつくだろうか。

『「えんがわ」は魚の種類だと思って寿司屋で食べていた』なんて魚そのものに疎い日本人(友人)もいたくらいだから、ここでしっかりおさえておこう。

この“脂がのった”状態は皮と身の間に白っぽい脂の層の厚みがあることを示す。具体的には下の写真のような様子。

 

 

身を解き、皮の部分だけにしてみると脂が“これだけ”残る。

この脂の厚みがどれほどのものかは他の鯖と比較することなしには語れない。

もっと魚、鯖に向き合って、寒さばのすごさを知ってほしい。

 

すっかり「ゆず」の香りについて触れるのが遅くなってしまった。

香りはそれほど強くなく、切り身を食べた時にほのかに感じる程度。酸っぱさは感じない。

香りのあるものと鯖を一緒に食べることが珍しいためか、ゆずの香りが先行し鯖のあの臭みがない気がした。

「鯖のあの臭みが苦手」と言った人にはピッタリな逸品かもしれない。

 

香りがついたサバ汁

それも柑橘系の香りとなれば、工夫の幅が広がりそうだ。

いつもの〆を始めよう。

 

サバ汁の〆方

週刊さば缶10_3-80

毎缶(刊)『サバ汁の〆方』と題して鯖の切り身を食べた後に残った汁=サバ汁を使って楽しめるレシピを用意している。

本缶のサバ汁はこのゆずペーストが含んだ水煮汁にあたる。

 

〆方

週刊さば缶10-80

 

今回は「ゆずと味噌」の組み合わせ。ゆずの香りを含んだサバ汁を“出汁”として味噌汁を作る。

やり方は簡単でサバ汁に100ccくらいの水を加えて沸騰するまで火を通し、それをインスタントの味噌汁に注ぐ。

 

週刊さば缶10_12-80

 

出来上がった味噌汁がこちら。

一見普通の味噌汁のように見えるが、よくみると寒さばの脂分がしっかりと浮いている。

これによって安いインスタントの味噌汁もコクが増し、満足感、高級感がぐっと上がってくる。

増してくるのはそれだけではない。

「香り」についても同様。いや、同様以上、主役級だ。

鯖の切り身を口にした時に比べてゆずの香りが数段増して感じる。

味噌の甘みとコクの中に、ゆずの苦味・上品な香りが加わるという今まで体験したことないことが何よりも新鮮だった。

 

週刊さば缶10_11-80

 

さらにもうひと工夫。

特に脂がのった腹部分を一切れ残しておいたのだが、これを細かく解き、味噌汁に入れる。

 

週刊さば缶10_13-80

 

そう、脂がたっぷり含んだ切り身を温かい味噌汁の具として愉しむ。

熱が少しだけ加わることで身が柔らかくなり、口の中で脂がしっかり広がるような印象を受けた。

切り身を単体で食べるよりも、「ゆず」の香りが身に染み込んでおり、これまた味と香りの幅が広がった気がする。

一缶でこれだけ味と香りの幅が広がるものも珍しい。

 

最後の一滴まで愉しめる一缶だ。

 

まとめ:週末さば缶#10|国産 寒さば 木頭ゆず水煮 190g

週刊さば缶10_4-80

 

冬の未練はこうして小さな缶詰ひとつで払拭することができた。

厚みのある寒さばの脂で得られる満足感。時にほのかに香り、ある時はメインの香りになった木頭ゆずの香り。

特別で、上品な一缶である。

 

 

(あとがき)

週末SABA刊は週に1本記事ずつ発行しており、本記事で#10目。

このコラムを開始してから本サイトのリピート率(1ユーザがサイトを再訪問した割合)が上がりました。このコラムのおかげなのか、はたまたTwitterの発信活動の効果かは不明ですが、「このコラムを開始してから」というきっかけに変わりないので嬉しい限りです。

今後もただのレビューコラムで終わらないよう、多角的な目線で大好きなさば缶に向き合い、このニッチな領域で発信を続けたいと思います。

かなり無駄なコラムかと思いますが、「無駄なことに全力になれないと、本当に全力が必要な時にその力を発揮できない」という人生の師匠 イチローさんの言葉を信じて何かやり遂げてみたいと思います。

 

週末のSABA表紙#10

#10 缶(完)

 

今回紹介したさば缶

 


来週もきっと朝から晩まで頑張って働く。

今のうちにご褒美を考えよう。

ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。

そうとなったら、

財布が緩いうちに、買っておこう。

“あなただけの” 特別なさば缶 を。

僕は次の週末に向けて“さば缶”を探す旅に出る。

週末のさば缶

 

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