今週も朝から晩まで頑張って働いた。
頑張った自分にご褒美を。
ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。
そうとなったら、もうひと頑張り。
重い腰を上げて、買いに行こう。
“あなただけの” 特別なさば缶 を。
この『週末SABA刊』は、日本中の“今週頑張った”を癒すちょっぴり贅沢なさば缶を紹介し、
各々によって変わる“サバ汁”の簡単な〆方まで解説している週刊コラムである。
週末さば缶#17|トミナガ さばごま油漬け缶詰 150g
物事には法則があり、時が経ってもそれほど進化しないものだ。
お金の増やし方の法則は何千年前から変わりないし、パレート、アリの法則など数多くの法則も人の考えや文化が変化してもさほど変わりはしない。
「食」にも法則がある。
主食、主菜、副菜を見た目で1:1:2にするという「1:1:2の法則」や調理に適した火加減、各々に沿った調味料の割合なども法則にあたるだろう。
これらの法則に言えることが1つあるとすれば、はじめからそうと分かっていたのではなく「考えてみれば、言われて見たら確かにそういうことかも、そのほうがいいかも」といったように後から気付かされることが多いということ。
アリの話もそう、主食・主菜・副菜を見た目もそう、おそらくそれが法則の性質。
そんな法則のように、「たしかにこれと食べ合わせると美味しいじゃん、なんで気づかなかったんだろう」と感じてしまうさば缶がこの春登場した。
週末SABA刊#17は「定番から学ぶ、美味しさのヒント」と題して、
紹介する。
販売元は富永貿易株式会社。飲料や酒類、菓子、加工品など「食」に関する商品を手広く展開しており、長年培ってきた経験と国内外のネットワークを売りとしている貿易会社だ。
その富永貿易の缶詰ブランド「TOMINAGA(トミナガ)」がごま油でおなじみのかどや製油の「純正ごま油」を使用したさば缶の販売を開始した。
販売開始は2022年5月17日。ついこの前だ。
調査したところ「鯖×ごま油」の食べ合わせを商品化しているところは未だない。
皆がその美味しさの”法則”に気づいていないうちに、僕たちは先んじて予習しておこう。
外缶(観)
深い黄色で縁取られた缶。大きく「鯖」と書かれた文字の右にはおなじみのごま油の瓶。
この瓶パッケージ以外のごま油は他に思いつかないくらい、かどやのごま油は日本の台所の定番だ。
この瓶の外観を見るだけでそれだとわかるのも商品アイコンとして成立しているからこそ。
たとえ、黄色のラベルに「ごま油」と表示させていなくとも、それが「ごま油」であるということが自明かのように僕たち日本人は理解できるだろう。
現に僕はこのさば缶を「ごま油漬け」という文字を読み取らずともそれだと思い、手にした。
「かどや」が生まれたのはさかのぼること江戸時代末期の1858年、徳川幕府が日米修好通商条約に調印した年。
その時代に、瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島という地で「加登屋(かどや)製油所」が誕生した。
「かどや」の名の由来は、「創業時の店舗と工場が交差点の“角地”にあったため」らしい。
「品川」「西武」「四谷」など土地柄やその周辺にあったもの、人物、文化などから街や会社を命名することが多いが、「かどや」のようにここまで手軽く命名した事例は初めて聞いた気がする。
しかし、言われてみないとわからないし、しっくりきている名だとも思う。
中身をいただく前に、原材料を確認しておく。
内容はいたってシンプルで国産のさばとかどやのごま油、そして食塩。この3つのみ。
無駄なものは一切入れずに、美味しさの法則を示す。
容量は150gとサイズ感としては小さく、ささっと食べ切れてしまうくらいのボリューム感。
では、ささっと食べてしまおうか。
中身
蓋を開けるとふわっとごまの香りがたった。
透き通ったごま油の中に、背中をあわせるように3つの切り身が詰まっており、表面には熱によって柔らかくなったさばの骨が浮いている。
中身を取り出し、豆皿に移してみる。
切り身のサイズとしては他のさば缶と比較して小さめで、少し愛おしく感じる。
しばらく、このコラムでは大きいサイズのさば缶を紹介していたので、少し感覚がおかしくなっているのかもしれない。
サイズが小さいさばにもメリットがある。それは身を丸々一口で食べれること。
さっそく大きめに口を開き、食べてみる。
頬張った瞬間から”ほのかに”立つごまの香り、若干の塩加減が印象的。しっかり煮詰められていることもあってか身の繊維をしっかり感じることができ、身のサイズこそ小さいが満足感は相反して大きい。
とまとめることができる。
詳しく説明すると、
ごまの香りは”ほのか”で、「僕は決して主役ではありません。引き立て役です。必要であればお呼びください」といったくらい。謙虚な存在だった。あくまで推測だが、内容が100%ごま油ではなく製造過程で使用された煮汁(おそらく水煮)も含まれていることもあってごま油の香り立ちが控えめになっているのだろう。
そうであれば薄味なのかと思いきやそうでもなく、もうひとりの引き立て役である食塩がそこにいることで味の詰まった風味に仕上がっている。
肝心な身も安物のさば缶とは違う。
しっかり煮詰めているおかげか引き締まり、一食感ごとに繊維を感じ、食べごたえがある。
それと気づいたことがもう一点。
さばが嫌いな人がよく言う「さばの臭み」が全く感じられない。
オリーブオイルやアマニ油とは違い、少し香りの強いごま油があってのことで、さばが嫌いな人でも難なく食べられるようなさば缶であると思う。
「さば嫌いには香りがたった調味料で食べ合わせを。」これも法則のうちかもしれない。
サバ汁の〆方
毎缶(刊)『サバ汁の〆方』と題して鯖の切り身を食べた後に残った汁=サバ汁を使って楽しめるレシピを用意している。
今回のサバ汁はこのかどやのごま油。
王道のあの料理で〆ようと思う。
〆方
キャベツを使う。そう、病みつきキャベツを作る。
ただ、普通の病みつきキャベツとは違い、少しだけアレンジを加えて他にないオリジナルにしていく。
カットされたキャベツの鍋いっぱいの水に浸し5分ほど煮詰め、シャキシャキとした食感が良さの病みつきキャベツをあえてヒタヒタの状態にしていく。
あとはサバ汁を上からまんべんなくかけ、その上から醤油ごまをひとつまみ、だし醤油をそっと数滴。
これで『新感覚:ヒタヒタ病みつきキャベツ』の完成。
ごま油といえば病みつきキャベツ。
しかし、普通の病みつきキャベツを作ってもなと思った時に発想を転換して思いついたのは醤油×甜麺醤ダレがヒタヒタになった回鍋肉のキャベツ。
「頼むから無くならないでくれ」という思いとは裏腹に、どんどん白い中華平皿から減っていく回鍋肉のキャベツ。あのキャベツを食べるときの”病みつき感”も言ってしまえば”病みつきキャベツ”なのでは?と。
だったらシャキシャキキャベツも良いが、ヒタヒタキャベツも良いなと思ったことからこの〆に取り掛かった。
味については割と想定どおり。
ヒタヒタになったキャベツに含んだごまの香りと少しの塩味。普通の病みつきキャベツであれば塩昆布を選定するところだが、ガツンとしたごまの香りを立たせたいと思うならば、こちらの材料を使用してみてほしい。
もちろんシャキシャキの病みつきキャベツを味わうのもあり。
切り身を残しておいて、さばと合わせて食べるのも良いかもしれない。
残念ながら〆の美味しさの”法則”はなかった。答えが無限大に発散してしまった。
まとめ:週末さば缶#17|トミナガ さばごま油漬け缶詰 150g
この5月から販売開始されたごま油でおなじみのかどや製油の「純正ごま油」を使用したさば缶 トミナガ さばごま油漬け缶詰 150gを紹介してきた。
頬張った瞬間から”ほのかに”立つごまの香り、若干の塩加減が印象的で繊維をしっかり感じられる鯖の切り身も最後まで美味しくいただけた。
僕は近くのスーパーで購入した。
もしかしたらあなたの近くのスーパーでも取り扱っているかもしれない。ぜひ、見つけた時にはそっとカゴに入れてほしい。
(編集後記)
今回このコラムで初めて新商品を紹介することに。いつもは定番や販売からしばらく月日が経った商品を紹介してきたので新鮮だった。さば缶市場もまだまだ発展途上であり、日々刻々と新しい商品が開発されている。今回はその実情を改めて知ることができ、さば缶好きの人間として素直に嬉しかった。過去に事例のない”悪の円安”に伴って各食品メーカーが値上げをせざる負えない状況ではあるが、より一層さば缶界を盛り上げるためにも僕は僕なりにさば缶の魅力や作り手の想い・背景を伝えていきたいと思う。
さば缶ブームが第何次ほど起こったかは不明瞭だが、またの波に乗れるようひたすら今日もさば缶を食べ、また紹介コラムを作り上げる。
今回紹介した商品
#17 缶(完)
来週もきっと朝から晩まで頑張って働く。
今のうちにご褒美を考えよう。
ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。
そうとなったら、
財布が緩いうちに、買っておこう。
“あなただけの” 特別なさば缶 を。
僕は次の週末に向けて“さば缶”を探す旅に出る。
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