今週も朝から晩まで頑張って働いた。
頑張った自分にご褒美を。
ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。
そうとなったら、もうひと頑張り。
重い腰を上げて、買いに行こう。
“あなただけの” 特別なさば缶 を。
この『週末SABA刊』は、日本中の“今週頑張った”を癒すちょっぴり贅沢なさば缶を紹介し、
各々によって変わる“サバ汁”の簡単な〆方まで解説している週刊コラムである。
週末さば缶#19|木の屋石巻水産 金華サバ 水煮缶
ふと、「美味しさの基準となるさば缶ってどれ?」と思った。
僕が紹介しているさば缶はどれもこれも美味しいのは間違いないのだが、毎刊「美味しい、美味しい」なんて言っていたら読んでいてくれている方に「結局どれ?」と突っ込まれるのではないかと。
美味いさば缶はどれだ?
何度も人気波がやってくるさば缶界もまだまだ発展途上の過程で、先月も新しいさば缶が発売されては、市場に出回っている種類は100を越えてくる。カレーやこだわりの味噌煮、燻製や味付けなど種類は様々。まだまだ出てくる予感。
しかし、そういった凝ったものばかりに目を向けているとおいしい鯖の根幹を見落としかねない。
そこで今回は「美味しいさば缶ってこれだったよね」というような「基準」になる一缶を紹介しようと思う。
週末SABA刊#19 今回は『美味しいさば缶の再定義をしよう』と題して、
を紹介する。
販売元は世界三大漁場の一つ 三陸海岸に拠点をかまえる株式会社 木の屋石巻水産。宮城県にある加工製品の製造・販売会社だ。
ここは1957年から鯨の行商をスタートして約70年間、鯨肉をはじめイワシ、さんま、そして鯖関連の商品を展開してきた。
こだわりは「その日のうちに加工すること」「日本中から調味料を調達すること」「無添加・無着色で加工すること」そして、「鯨の食文化を継承すること」の4つ。
このこだわりでだれもが唸る商品を作り続けてきた。
そして今回、ブランド鯖である「金華さば」を使ったさば缶をこの週末にいただこう。
もし、今この記事を呼んでいるあなたが率直に「美味しいさば缶を手に入れたい」と思った際には、ぜひ手にとってほしい一缶。食べた後には”本当に美味しい鯖“がわかり、そしてこれより先で鯖を食べるたび美味しさの度合いが表現できるようになると思う。
では、基準を確かめにいこう。
外缶(観)
黒い下地に白い文字でインパクトのあるパッケージ。
商品イメージ画像がないのにも関わらず、ここまでわかりやすいパッケージはなかなかないと思う。
この「木の屋石巻水産 金華サバ 水煮缶」は2種類展開され、本商品のようなこの黒いパッケージのものと下の画像のような白いパッケージが採用された「<彩> 金華さば水煮」がある。
出典元:木の屋HP <彩> 金華さば水煮
違いは、使用している金華さばが大型であるか、それとも中型のサイズか。
大型の金華さばは本商品で、中型の金華さばは上の「<彩> 金華さば水煮」である。もし、店頭でこのさば缶を見かけたときには真っ先に黒い方にその手を伸ばしてほしい。
ただでさえ多くの脂を含み大きな身である金華さばの大型サイズともなればなかなか食べる機会はないし、こういったチープな”缶詰”という形でしか味わうこともないだろう。
缶詰の裏には商品説明が記載されている。
少量しかつくれません。
丁寧がゆえ、そしてその素材が貴重であるがゆえに、少量しか製造できないとのこと。
その製造の過程が5分程度の動画にまとめられている。余力があれば見ていただきたい。
貨物の荷台から放たれる大量の鯖は圧巻、製造工場で業務されている方が丁寧に手詰めしている様子も収まっており、かなり勉強になる。
実際の動画

内容量・サイズ感について確認しておこう。
サイズについては内容量170g、固形量110gと高級さば缶の中では一般的なサイズ感。
原材料は、金華山の沖合で取れた「金華さば」と食塩のみ。シンプルな水煮だ。
ちなみに製造は2020年度、かなり年月が経過している。
この経年は弱点ではなく、むしろ”良さ”。
さば缶はフレッシュであればあるほど良いという訳ではなく、製造から少し時間が経つと美味しくいただけるからだ。覚えて置いて損はないだろう。
さらには2年くらいが丁度よいと”さば缶通”が言っていた。
ベストだ。
中身
身が解けることなく缶の中でそのままの形を保っていた。
よく見ると、金華さばに含まれたいっぱいの脂が若干白濁し、水煮の上に浮いている。
切り身は3つ。
ひとつひとつ丁寧に取り出して、豆皿に移し替えよう。
と思ったのだが、あまりにも身が柔らかいために細かく解けてしまった。
箸でつまむと簡単に解けてしまうような柔らかさ、口にしたときにはどうだろう。
早速、背中部分の切り身を一口。
「柔らかい」「臭みを感じない」「塩味が薄い」といった印象。
1つ1つ見ていこう。
「柔らかい」に関しては食べる前から少し自明であったが、強めの繊維感が印象的な背中部分を口にしたときに感じられるほど柔らかい。金華さばの美しさとその貴重性を加味してその柔らかさを”たわやか“と表現するべきだろうか。
「臭みを感じない」は木の屋が推している要素の一つでもあり、それが本当だということが確かめられた。新鮮なまま密閉し、加圧加熱がしっかりされている証拠であると考えられる。
そして最後の「塩味が薄い」。
これについては決してネガティブな表現ではない。「減塩」とも特に記載されていないので、おそらく普通の鯖の水煮とほぼ変わらない食塩の量であると思うのだがその塩気は薄い。
その代わりに甘い。
脂質を多く含んだ脂の甘さが塩味とうまく調和して塩気が控えられたやさしい「甘しょっぱい」を作り出しているのだと思う。
この3セットが美味しいさば缶を成形している。
最後に腹の部分を食べようと思い箸でその切り身を持った時、これは驚いた。
分厚い脂。
さば缶を食べ慣れていない人でもこの脂の量は多いとわかってもらえると思う。
味については文句なし。部位的にも同じ大トロを食べているときと同じ感覚になる。噛み切りながら解くというよりも勝手に解けているという感覚。
柔らかく、十分な脂質もあり、臭みも感じない。そして凝った味付けをすることなく口にした瞬間から脂の甘みを感じられ、「美味しい」と唸るようなさば缶こそ、美味しいさば缶の最低限条件。それが”基準”であるよう思える。
サバ汁の〆方
毎缶(刊)『サバ汁の〆方』と題して鯖の切り身を食べた後に残った汁=サバ汁を使って楽しめるレシピを用意している。
今回は食塩と金華さばの脂質を多く含んだこの煮汁がサバ汁になる。
凝った〆にはせず、なるべくプレーンな状態で味わってみようと思う。
〆方
サバ汁の〆に使うのは「梅肉」。今回は簡単に手に入るチューブタイプの梅ペーストを採用した。
残ったサバ汁を鍋にすべて移し、少量の水を加えて加熱。
サバ汁の中に残った鯖の繊維が踊り始めたら加熱をやめ、汁椀に注ぎ、梅ペーストを加えて軽くかき混ぜる。
かなりシンプルな内容だが、食べた時は満足度が半端ない。
“コクが有り余る出汁”を飲んでいる感覚になる。
深すぎるくらいのコクに、さっぱりとした梅が所々入り込んでくることで鬱陶しくない汁物になり、最後までじっくり味わうことができるだろう。
生活も、学習も、仕事も、食もメリハリが大切だ。
まとめ:週末さば缶#19|木の屋石巻水産 金華サバ 水煮缶
三陸海岸に拠点をかまえる 木の屋石巻水産の金華サバ 水煮缶を紹介してきた。
美味しい鯖の代表である金華さばをシンプルな水煮で味わい、「美味しさの基準」を再認識した。
しかし、その基準はあくまでも筆者である僕の基準であって、あなたが美味しいと思うさば缶はきっと他にもあるし、あなたなりの鯖に求める最低条件がこれから見えてくると思う。
だからこそ、このコラムを読んでいる方には本商品含め金華さばを使ったより多くのさば缶を試していただきたい。
明日もあさっても、そしてその次の日もまたおいしいさば缶を探しにいこう。
今回紹介した商品
#19缶(完)
来週もきっと朝から晩まで頑張って働く。
今のうちにご褒美を考えよう。
ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。
そうとなったら、
財布が緩いうちに、買っておこう。
“あなただけの” 特別なさば缶 を。
僕は次の週末に向けて“さば缶”を探す旅に出る。
バックナンバー
【週末さば缶#18】
STONE ROLLS お蕎麦屋さん風さばカレー