モネはすごい。でも、モネをモネにしたあれの方がもっとすごい|2022/8/5日記

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08/05/2022

今日の朝も心地よい気温だった。

就寝前に10センチほど開けておいた窓の隙間から吹く強めの風が涼しくて、とても心地が良かった。

 

起きたのは7:55。遅刻気味。

急いで歯を磨いて、布団を片付けて、バジルとガジュマルに水をやったらあっという間に8:20だった。

始業準備まで10分あるなら、と思ってVoicyで ヤング日経 を聞くことに。

「ヤングならこれだけは知っておこう!1日5本、日経ニュースを厳選し、サクッと短くお届けします。」という頭出しから始まる日本経済新聞のラジオ。文字を頭で解釈する気力が僕の朝にはないからラジオはちょうど良い。

今日の面白かったニュースは伊藤園とスタートアップ企業が手を組み、抹茶摂取で睡眠の質向上するという臨床試験結果を公開というニュース。コーヒーと同レベルのカフェインを含むのに?と思いながらも、興味深いなと思った。

ふと、母がたまに点てた抹茶が懐かしくもなった。

 

茶道に必要な七つの道具が置いてある実家の床の間。
秘密基地みたいなサイズ感の床の間は小さい頃の僕に刺さった。自分好みにモノを配置して僕だけの空間を作っていろんな遊びをしてた。小さな暮らしのバイブルはここからだったかも。

 

前日が雨、かつそこまで気温が高くならない今日この頃。

こんな日の日記は何を書けば良いのかなって思って、色々なことを想像しながら仕事をしてみた。

「最も思い出に残っている雨の日の翌日はありますか?」なんていう一生されない質問の答えを考えてみた。

問いの答えは 2018年2月8日。パリ泊3日目。

当時、弱冠ハタチの僕はなけなしのアルバイト代を使い切り、一人で英/仏に。

2月7日のパリは凍え死ぬかと思うくらい冷たい雨が降ったけど、翌日の2月8日は晴れだった。

最も印象に残っている雨の日の翌日はいろんな感動をおぼえた日。

 

2018/2/8Paris

 

朝一番に外に出てオペラ座周辺を散歩した後、ルーブルの入り口で開館待ち。「2018年2月8日。この日、この世界で、一番最初にモナリザを見た人になる」と意気込み、入り口で2時間くらい待機してた。

入り口が開いたら、一目散にドュノン翼の方向に足を向けて、若干アウトなスピードで速歩き。モナリザまでの最短距離は頭に叩き込んでいた。「この階段を上って、左に曲がり、そしてそのあとは右」

 

一番かと思いきやモナリザの右端には警備員がいた。
正確には2人目だった。「少年早いね」みたなことを英語で言われた。

 

モナリザ、ミロのヴィーナス、ニケ、アルチンボルドの四季。民衆を導く自由の女神だけは改修工事で見られなかったけど、美術の時間に「生きているうちに絶対に見たい」と誓った絵画たちは一通り見た。

ルーブルを出た後はその足でオランジュリーへ向かって、もう1つの目的「モネの睡蓮を見る」を果たしに。

いろんな夢を叶えられた日は冷たい雨の日の翌日。とても印象に残ってる。

 

 

「日の出」か「睡蓮」という作品が有名なモネだけど、僕は他の絵が好き。

特に、今日の日記のアイキャッチ画像にした サン・タドレスのテラス(海辺のテラス)という作品。

ぱっと見なんの変哲もない絵画だけど、いろんな想像ができて複雑な気持ちになる。

見ると複雑な感情になってしまう絵画が好きとはなかなか変だけど。

MoMAで撮った写真

絵にはモネの父とモネの彼女、そしてその家族が写っているらしい。キャンバスの端から同じ距離に描かれた2つの旗、4人がそれぞれ別々に会話していたり。絵の半分は日陰で、もう片方は陽。向こうの海にいる船の向かって右側は蒸気船で左側はヨット。不思議なことがたくさんある。

そもそもなぜモネは4人と離れたところで海を背景にこの絵を描いたのか。なんかも考えるとあっという間に時間が経つ。

専門家に聞いたら、「こうだからだよ。」なんて答えが返ってきそう。だけど、父との関係が良くなかったモネ自身の複雑な心境はこの絵にはモネしか知らない状態で詰まっていて、誰もそれを理解できないんだろうな。と長い時間考え込んでしまったあの時からこの絵が好きだ。

 

 

日記タイトルの回収に。

モネはこの世で存在した画家の中でも最も優れた画家の一人。稚拙な言葉を使うのはすごく申し訳ないけど「すごい」。

でも、歴史的に見てモネのすごさは”ある道具”がなきゃ見出せなかった。

その道具は「チューブ式の絵の具」。

顔料を砕いて油で練るという作業が絵の具を作るには必要で、当時それは室内で行うものであり、絵の具は持ち運ぶ存在ではなかった。しかし、チューブに絵の具を詰めて持ち運べる技術が発明されてからは、外で描いたスケッチにその場で色を付けられるようになったり、売れない画家がチューブ式絵の具を売るという新しい商売も生まれた。

「絵は室内で描くもの」という一般常識は覆り、「絵はどこでも描ける」という概念に。そして新しい文化も生まれた。

これがいわゆる「印象派」と呼ばれる画家たちのスタートでもあって、ゴッホやルノアールのような有名な画家が次々に登場してくるきっかけ。

『モナリザ』や『真珠の耳飾りの少女』なんかの色合いと比べると色の彩度・明度の違いは明白。太陽の下で行うレタッチとランプの下でレタッチするのはかなり違う。

いかに大きな革命であったかは誰が見ても分かると思う。

 

現代風に言うと「モバイル化」。

「持ち運べる」は時代を大きく変化させてきた。もっと最近の例では携帯電話、パソコン。世の中にある物質的なモノが持ち運べる対象になると生活・価値観・仕組みは大きく変わってくる。

メタバースの時代が来るというときに、まだまだその技術に必要な道具は「モバイル」というカタチにはなっていない。つまりはこの技術を持ち運べるようになると新しい価値が生まれて、また時代は大きく変化してくるのだと思う。

きっとこの先「ルネサンス 2.0」が待ってる。らしい。

 

08/05/2022

 

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