今週も朝から晩まで頑張って働いた。
頑張った自分にご褒美を。
ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。
そうとなったら、もうひと頑張り。
重い腰を上げて、買いに行こう。
“あなただけの” 特別なさば缶 を。
この『週末SABA刊』は、日本中の“今週頑張った”を癒すちょっぴり贅沢なさば缶を紹介し、
各々によって変わる“サバ汁”の簡単な〆方まで解説している週刊コラムである。
週末さば缶#11|高木商店 朝獲れさば水煮 190g
テレビ番組で獲れた魚をそのまま漁場で刺身にして食べる様子をたまに目にするが、果たしてその「獲れたて」は美味しいのか。と疑問に思うことがある。
生臭さは平気か?下処理は十分か?などと思いつく不可思議な点が多く、「新鮮なおいしさですね!」というタレントのコメントはフェイクな気がしてならない。
こう思うのも、すしの名店は『“寝かしてから”が基本』と語るからである。
ある処では、「締めた日の夜はイキが良すぎて握れない。コリコリするだけで持ち味が生きないから、握れるのは翌日の昼」(引用) と語るように必ずしも「獲れたて」が良いとはされていない。
ただ、誤解しないでいただきたいのは「獲れたて」を卑下している訳ではない。
美味しい「獲れたて」の存在を知っている、かつ鮮度を保ったことで旨みが増すことを知っているからだ。
それが今回のメイン缶。
週末SABA刊#11は「朝の“海”を獲る」と題して、
を紹介する。
販売元は株式会社 髙木商店。日本有数の漁港 千葉県銚子港と茨城県波崎港に近接する位置に工場を構え、昭和初期から水産加工業を営んできた老舗だ。
脂乗りが良い冬の鯖を使った「寒さばシリーズ」をはじめ、優秀すぎる立地を生かし、買い付け後即座に製造する「朝獲れさばシリーズ」など豊富な種類のシリーズ商品を展開しているのが特徴的。(今回紹介するさば缶は「朝獲れさばシリーズ」に当たる)
スーパーやコンビニなどにも商品を広く展開しており、意識しないだけで「知らないうちに高木商店のさば缶を食べていた。」なんてこともあるかもしれない。
さて、
「朝に獲れた鯖」の何がいいのか?というか獲れたての品質は担保できているのか?
それについて解説を交えながら今回も美味しいさば缶を嗜む。
最後までどうぞお付き合いを。
外缶(観)
ザラザラとした質感のラベル、高級感のある銀の缶、そしてこの光沢。
この缶が近所のスーパーの商品棚でいつもひときわ目立ってる。
近くに寄ってラベルをよく見てみると日本模様の一つ「青海波」がラベルに印刷されているのがわかる。
同心円の一部が扇状に重なり波のように反復させたこの文様、日本人であれば一度か二度は見たことがあるだろう。
一見ただの模様だが、広い海がもたらす恩恵を感じさせる柄で、無限に広がる波の文様に“未来永劫へと続く幸せへの願い”と、人々の“平安な暮らしへの願い”が込められた縁起の良い柄という意味がある。
たった一つのさば缶のラベルもこうしたミクロ的な視点を使ってじっくり観察するといろんな発見があるはずだ。
いつも思うことだが、「たかがさば缶、されどさば缶」だ。
原材料表示を確認しておこう。
水煮なので、とてもシンプルな原材料。
さばと食塩の2点しか使用していない。
サイズ感、重量感については、
固形量(切り身の重さ)140g、総量190gと高級さば缶の中でもスタンダードな分類だ。
高木商店の缶詰にはあるマークがついている。
漢字の「目」の上に尖った山のアイコンを合体させたマーク「やまめマーク」だ。
これは、
山の頂上を目指す高い理想に向かって
一歩一歩進んでいく、まさに今は途上である
という意味が込められており、代々受け継がれてきたものであるそう。
市場においても高木商店を識別する荷印でも使用されているとのことだ。
今はどんなメーカー・ブランドもスタイリッシュ、かつエキゾチックなアイコンを使うことが多く、こう言った漢字を使ったアイコンがあるとどこか新鮮な気持ちになる。
「商店」という会社名を貫いている感じも愛着がわく。僕だけだろうか。
中身
中身を見ていこう。
一見味噌汁のように見えるが、水煮である。
大きな切り身が2つ。
一般的なさば缶であれば、腹の部分が2つと尾の部分が1つ 計3つの切り身が入っているだがこの缶は違う。
切り身の数が少ないからといって満足度が下がるわけではない。むしろその逆で、通常缶の切り身の大きさに比べて一回り大きく、鯖の質の高さもあって満足感が上がる。
その質の高さについて触れていこう。
まず、「大きな切り身が2つ」とは言ったもののどれがその2つなのか写真で見てとれなかっただろう。
実は、缶から豆皿に切り身を移す際に切り身があまりにも柔らかったため簡単に解れてしまい原型を失ってしまった。
簡単に解れてしまうほどのこの身の柔らかさは“フレッシュパック”という「朝獲れシリーズ」の特徴的な製法が関係してくる。
フレッシュパック製法は原料のさばを冷凍せず、新鮮なまま製造することで冷凍原料を使用したさばと比べて、より身のやわらかさが増す。加えて、良く脂を含んだ身の味わいになる。
獲れたての鮮度のまま加工することでこういったメリットがあるのだ。
低価格帯のさば缶のほとんどは冷凍した鯖を使っているので、ぜひ一度その違いを比べてみてほしい。
食べた瞬間にわかるほど、段違いであるはず。
サバ汁がかなりオイリー
肝心な味については、少し塩加減が強め。
一般的なさば缶に比べても塩の含有量が多めだという。高木商店の営業担当の方曰く「ちょっと塩っぱいほうがおいしいです」とのこと。(参考)
塩加減が強めと言っても、フレッシュパック製法で担保された魚脂の甘みがあるため、先行していたしょっぱさも、後に脂の深みによって深みが増して味が変わってくる。
上の写真を見て、振り返って思ったのだが鯖からこれほどにも脂が出ているとはびっくりだ。
サバ汁の〆方
毎缶(刊)『サバ汁の〆方』と題して鯖の切り身を食べた後に残った汁=サバ汁を使って楽しめるレシピを用意している。
上で取り上げてきた魚脂がふんだんに含んだサバ汁を使ってその〆を楽しむ。
と思ったのだが、
水煮のサバ汁レシピが枯渇してきたため今回は毛色を変えてみる。
(水煮のサバ汁の〆方は過去に色々紹介してきたので、ぜひそちらを参照してほしい)
〆方
今回の「サバ汁の〆方」は、
【サバ専用日本酒】 SABA de SHU(サバデシュ)で〆る。〆というよりは、“はじめ”に近いことをしているかもしれないが、そのクレームは受け付けていない。
今週頑張った週末の「〆」ということで捉えていただければ。。。
SABA de SHUは高木商店と同じ茨城県の吉久保酒造という酒造でつくられており、名の通り鯖に合うサバ専用日本酒だ。
味は、甘め。
辛口な日本酒に苦手意識がある人は、この日本酒からスタートするのも良さそうだ。
この日本酒は多種のブレンド酒。酸度、アミノ酸が高くなるように調合されているため、サバの旨味を引き出してくれる。
確かに脂分が多かった印象もこの日本酒と一緒に食べることでスッキリとした味わいに変わった。
さば缶の中身がなくなり次第、日本酒の役目は終了するため飲み過ぎ防止できる。
週末だからといって狂酔することもなさそうだ。
まとめ:週末さば缶#11|高木商店 朝獲れさば水煮 190g
日本トップレベルの鯖の水揚げ高を誇る茨城。
その下支えとなる老舗が詰めた「獲れたて」を美味しくいただいた。
フレッシュパック製法によって担保された鯖の脂をしっかり味わえるこの缶は通年販売されている訳ではなく、数量限定商品として販売されている。
まだまだ寒い日本の海で育つことで脂が乗った鯖で製造されているうちに、ぜひ食べていただきたいと思う。
今回紹介した商品
#11 缶(完)
参考文献
魚はとれたてが本当にうまいのか|NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXNASDJ26019_W3A320C1000000/
来週もきっと朝から晩まで頑張って働く。
今のうちにご褒美を考えよう。
ちょぴり贅沢な美味しい一品を用意しよう。
そうとなったら、
財布が緩いうちに、買っておこう。
“あなただけの” 特別なさば缶 を。
僕は次の週末に向けて“さば缶”を探す旅に出る。
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